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1954年

ゴジラ

ゴジラ ゴジラ
宝田明 河内桃子

 

本多猪四郎監督1954年製作「ゴジラ」を紹介する。制作費1億円(当時)を掛けた"東宝ゴジラ・シリーズ"の第1作で、日本の怪獣映画の元祖である本作は、海底の洞窟に潜んでいた侏羅紀(ジュラ紀)の怪獣「ゴジラ」がたび重なる水爆実験で安住の地を追われ、東京に上陸して破壊の限りを尽くす。スタッフは、本多組の本編A班、円谷組の特撮B班、向山組の合成C班の3班体制がとられた。本編実写班は、1953年8月7日にクランクインし、9月下旬にクランクアップした。円谷組の特撮B班の撮入は、少し遅れて8月下旬からとなり、10月下旬まで3か月かけての撮影となった。記念すべき本作は、1954年11月3日に全国公開され大ヒットした。また本作は、ハリウッド資本に買い取られ、主演をレイモンド・バーとしてテリー・モース監督のもと追加撮影が行われ、再編集された後に日本映画で初めて全米メジャー系の配給網に乗せられ、1956年に「Godzilla, King of the Monsters!(怪獣王ゴジラ)」の題名で全米公開された。封切り後には4日間で17,000ドルを稼ぎ出し、最終的に50万ドルを上回る興行成績となったそうだ。

 

ゴジラ ゴジラ
志村喬 平田昭彦
ゴジラ ゴジラ
菅井きん 志村喬

 

【ストリー】
太平洋の北緯24度、東経140度の地点で、次々と船舶が原因不明の沈没をした。新聞記者萩原(堺左千夫)は遭難地点に近い大戸島へヘリコプターで飛んだ。島では奇蹟的に一人だけ生残った政治(山本廉)が、海から出た巨大な怪物に火を吐きかけられて沈んだというが、誰一人信じない。只一人の老漁夫は昔からの云い伝えを信じ、近頃の不漁もその怪物が魚類を食い荒すせいだという。海中に食物がなくなれば、怪物は陸へ上って家畜や人間まで食べると伝えられている。萩原は信じなかったが、暴風雨の夜、果して怪物は島を襲って人家を破壊し、政治と母も一瞬に踏み潰された。国会は大戸島の被害と原因を確かめる調査団を派遣した。古生物学者山根博士(志村喬)を先頭に、その娘で助手の恵美子(河内桃子)、彼女の恋人サルベージ会社の尾形(宝田明)、原子物理学の田畑博士(村上冬樹)に萩原と政治の弟新吉(鈴木豊明)も加った。そして調査団は伝説の怪物が、悠々と巨大な姿を海中に没するのを見た。帰国した山根博士は200万年前の海棲爬虫類から陸上獣類に進化する過程の生物ゴジラが、海底の洞窟にひそんで現代まで生存していたが、度々の水爆実験に生活環境を破壊されて移動し、而も水爆の放射能を蓄積して火を吐くのだと説明した。フリゲート艦が出動して爆雷を投下したが何の効果もなく、ゴジラは復讐するかの如く海上遥かに浮上り、東京に向って進んだ。直ちに対策本部が設けられた。山根博士の弟子芹沢(平田昭彦)は、恵美子を恋していたが戦争で傷けられて醜い顔になったのを恥じ、実験室にこもって研究を続けていた。ゴジラは東京に上陸し、品川駅を押し倒し、列車を引きちぎり、鉄橋を壊して海中へ去った。本部では海岸に5万ボルトの鉄条網をはり、都民は疎開を始めた。ゴジラは再び上陸し、鉄条網を寸断し戦車や重砲の攻撃を物ともせず、議事堂やテレビ塔を破壊し、一夜にして東京は惨澹たる街となった。芹沢の秘密の研究を知る恵美子は、それを尾形に打明けた。水中の酸素を一瞬に破壊して生物を窒息させる恐るべき発明である。現代の人間を信じない芹沢はこれが殺人武器に用いられることを恐れて資料を火に投じ、ただ一個の機械を持って自ら海中に身を没した。船上の人々は目のあたりゴジラの断末魔を見た。そして秘かな恋をすてて死んだ芹沢の為に黙祷を捧げた。

 

ゴジラ ゴジラ
河内桃子 ゴジラ(スーツアクター:中島春雄)

 

【SF研究家の大伴昌司氏の批評】
「不安やパニックの描写に優れ、本編と特撮とが融合している唯一の作品であって、核兵器反対というテーマを真正面から打ち出すなど映画史上にも残る傑作である。これ以降に出現したさまざまな怪獣映画は畢竟「ゴジラ」の蛇足に過ぎない。」

 

ゴジラ ゴジラ
ゴジラ(スーツアクター:中島春雄)

 

題名: ゴジラ
監督: 本多猪四郎
  特技監督:圓谷英二(円谷英二)
製作: 田中友幸
原作: 香山滋
脚本: 村田武雄、本多猪四郎
撮影: 玉井正夫
照明: 石井長四郎
録音: 下永尚
音効: 三縄一郎
  美術監督:北猛夫
美術: 中古智
音楽: 伊福部昭
編集: 平泰陳
現像: 東宝現像所
  製作総指揮:森岩雄
  製作担当:眞木照夫
  監督助手:梶田興治
  特技監督補佐:向山宏、渡辺明、岸田九一郎
  特技撮影:有川貞昌
  特技照明:岸田九一郎
  特技美術:渡辺明
  特技操演:中代文雄、小川昭二
  特技美術:渡辺明
  特技背景:鈴木福太郎
  特技造形:利光貞三
  光学撮影:荒木秀三郎
  光学合成:向山宏
  光学作画:幸隆生、茂田江津子
  合成作画:岡田明方、石井義雄、渡嘉敷唯信、進八郎
  特技大道具:牧野金太郎、田中喜一
  特技小道具:山本久蔵
  特技組付:島袋光和、高山一
  特技造形:利光貞三
  石膏制作:小田切幸雄、冨樫美津男、照井栄、成田亨
  制作賛助:海上保安庁
  スチール:田中一清
出演: 宝田明、河内桃子、平田昭彦、志村喬、村上冬樹、堺左千夫、小川虎之助、山本廉、林幹、恩田清二郎、笈川武夫、榊田敬二、鈴木豊明、髙堂國典、菅井きん、川合玉江、東静子、馬野都留子、岡部正、鴨田清、今泉廉、橘正晃、帯一郎、鈴川二郎、池谷三郎、手塚勝巳、中島春雄
  1954年日本・東宝/スタンダードサイズ・35mmフィルムモノクロ97分

 

 

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